Junの英語学習ブログー英語通訳・翻訳・ガイド・講師ー

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平泉に関連する短歌、俳句の英語訳 2 芭蕉以外編

芭蕉の句以外で有名なのが、西行の和歌でしょう。西行の句碑は、月見坂の途中、ちょっと坂からそれた場所にあります。西行が読んだ歌は以下の通りです。

 

「ききもせず 束稲山のさくら花 よし野のほかに かかるべしとは」

 

これは、「束稲山の桜は素晴らしい。桜で有名な奈良の吉野(山)のほかにこれほど美しい桜があることを私は聞いたことがなかった。」という意味だそうです。英訳すると、以下のような感じになります。

 

How marvelous, The cherry blossom of Mount Tarashine.  I had never heard of Another place as beautiful as Yoshino.  

この訳は、所属のガイドの会のガイドマニュアルに掲載されていたものなので、有名な方が訳したのかどうかわかりません。もしかすると観光協会のウェブサイトなどにあったものかもしれません。束稲山は、月見坂の東物見台から見ることができる、中尊寺のあるところの向かい側にある山です。昔は桜の花がとても綺麗だったようですが、今では中尊寺の前の国道の桜並木の方が有名です。

 

あまり知られていませんが、金色堂の脇のところに、宮沢賢治中尊寺について書いた詩の句碑があります。詩は以下のようなものです。タイトルは中尊寺。そのまんまですね。(^^;)

 

中尊寺

七重の舎利の小塔に蓋なすや緑の燐光

大盗は銀のかたびら おろがむとまづ膝だてば

赭(しゃ)のまなこただつぶらにて

もろの肱映えかがやけり

手触れ得ね舎利の宝塔

大盗は例して没ゆる

 

海外の方に、これはどういう意味?と聞かれた時は、本当にびっくりしました。どうやって答えたかも今は忘れてしまったのですが、今見ても何がなんだかわからない詩ですが、このような意味だそうです。

「銀のよろいを身に着けた大盗が、金色堂を象徴する宝を盗もうとしたが、なぜか宝塔に手を触れることができず、結局そのまま礼をして立ち去った」

英訳すると以下のようになります。

Chuson-ji

Seven-tired small treasure pagoda 

Glittering pale green phosphorescent light covers it like a canopy.

A great plunderer in a silver robe knelt down to pray

But he simply stared in wonder 

His eyes were red and both his arms were brightly shining. 

The great plunderer couldn't touch the pagoda.

He bowed and left.

英語をみても、ちょっとよく意味がわからない感じですが、一応、こういう訳になるようです。上の話を基に、もっと簡単に自分で説明してもいいと思います。

 

あともう一つ、弁慶の墓のところに句碑があります。弁慶松と呼ばれる木が植えてあります。句碑に記された俳句は以下の通りです。

「色変えぬ 松の主(あるじ)や 武蔵坊」

これは、聞いたことがある方も多いかもしれません。弁慶の義経に対する忠誠心を表している句ということです。意味は、「松の葉は、秋になっても色が変わらないが、それと同じように、弁慶は義経に忠実に使えた。」となります。英語で説明すると、以下のような感じになります。

Benkei's loyalty to Yoshitsune never changed, just as pine needles never change their color. 

これはガイドの会のガイドマニュアルを参照しました。弁慶松のところまで行くことはめったにないので、あまり説明する機会もないかもしれませんが、近くにバス停があるので、時々FITのお客様の場合にこの場所の前を通ることがあります。その際に、「ここは何か説明してください。」ということになる場合もあります。1回か2回くらい、そういうこともあったかもしれません。

 

何を聞かれるのか予想がつかないのが、ガイドの難しい所です。ほんとに予想外のことを質問する方が毎回いるので、なんでも答えられるようにしておいた方がいいと思います。このような塔とか句碑なども、目に入ると質問が出ることがあるので、念のため意味を事前にチェックしておいた方がいいと思います。