Junの英語学習ブログー英語通訳・翻訳・ガイド・講師ー

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 被災地視察のガイド・通訳2

東日本大震災関連の被災地視察の仕事は、震災直後から多数経験しました。通訳が多かったですが、ガイドの仕事もありました。ガイドという位置づけの仕事でも、大抵地元の語り部さんのお話や、商店や住民の方々へのインタビューなどが入るので、通訳込みの事がほとんどでした。23日も福島で被災地のガイドの仕事をしましたが、時間の半分くらいが通訳になりました。

 

お客様はオーストラリアとニュージーランドの方々が大半で、ドイツとオーストリアからの個人参加の方々が1名づつ、合計12名でした。1日ですが、朝8:00発で東京駅着が20:00予定の、長いツアーです。

 

バスに乗っている最中に、ガイドがツアーの趣旨やスケジュール、何が起こったか、放射線のことについてなどを話します。福島第一原発の中には入りませんが、原発から約3km付近まで行きます。また、このツアーの特徴の一つが、ゲスト1人1人にガイガーカウンターを渡すことです。これで、避難指示解除されたところはすでに安全であり、除染がまだ行われていない地域や原発近くは線量が高め、ということを実感していただけます。

 

以下のようなところに行きました。

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浪江町の駅から、周辺を散策。2017年に避難解除されたところですが、元の住民の人口の5%程度、約1000人しか戻ってきてないとの事です。これは居酒屋の店内ですが、慌てて避難した様子が見られます。

 

原発から14kmの地点で、牧場を営んでいる方の所でお話を伺いました。これはガイドが逐次通訳で伝えます。330頭の牛を殺処分するよう行政からお達しがあったそうですが、出来なかったそうです。今でも買い手がつかない牛330頭は、ほぼそのまま牧場にいるそうです。状況を省庁に訴えてもたらい回しにされたそうで、原発の危険性を訴えるために、過激な車を引っ提げて、時々東京の渋谷ハチ公前などで、演説してるそうです。牧場名を原発事故後「希望の牧場」に変えたそうです。他牧場で殺処分された牛の写真を見せる時、ウジ虫maggot という単語が出て来るのですが、前回言えませんでしたが今回は思い出せました。

 

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津波をかぶって中がめちゃくちゃになった小学校。幸い生徒は近くの山に避難して全員無事でした。津波到達時間で時計が止まってます。以前も別の仕事で来たことがありますが、前は中に入って見ることが出来ました。今は記念館にする準備中のため、立ち入り禁止になっているそうです。

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福島第一原発です。この不近は線量がまだ他と比べて高いです。

 

最後に震災のいわゆる「語り部」の方からお話しを伺いました。実際に漁港の所に行って津波の時様子から、街の現在の復興の状況をお話ししていただきました。これも逐次通訳でした。こちらの地域は津波は高かったものの、津波による死者は30名以下と比較的少なかったそうです。しかし、その後の避難生活のストレスから来る震災関連死で、400人以上亡くなっているそうです。

 

会社の立場としては、原発に反対賛成どちらでもなくニュートラルな立場に立って、過去や現状をそのまま見ていただくことによって、自分の人生や家族、生活の事など、様々な事について考えて見てほしいという考えでツアーを組んでいる、ということでした。

 

お客様によって印象に残った部分は様々でしたが、全体として強烈な印象を残したのではないかと思います。私もガイドの最中は夢中なので特に何も思い浮かばないのですが、あらためて書いてみると、これまで昔から継続してきた自分達の居場所であるコミュニティが、帰ってきて見たら突然ゴーストタウンのようになっていたら、どういう気持ちだろうかと思いました。もう住めなくなってしまった所もあります。まだ311は終わっていない、今後色々な事をしていかなくてはいけないと思いました。