ベジタリアンにも色々ある-外国人に喜んでもらえる、でも大変なのが食事-
ガイドで大変なことの1つに、食事の手配、お世話があります。海外からくる方々は、宗教が違うと食べられるものが少なかったり、アレルギーがあったり、また最近はベジタリアンの人も多く、志向に合わせてレストランやメニューを選択するのが大変です。昨年の春に、ほぼ完全な菜食主義者のグループを案内する機会があり、レストランを手配することろから私がやったので、とても大変でした。このグループの中にも、全員完全なベジタリアンかと最初思っていたのですが、乳製品だけはOKという人も2人いて、改めて、「ベジタリアンでもいろいろなんだ。」と認識させられました。
ベジタリアンには、以下のような種類があります。
・ビーガン Vegan、ピュアベジタリアン Pure-vegetarian
純粋採食主義者・・・一切の動物性食品を取らない人たち。肉、魚、貝類、乳製品、卵などを食べず、革製品や動物性品(シルクなどを含む)も身に着けない。はちみつもNo.動物性の食べ物のみ避ける人たちをDietary Vegan と呼ぶこともある。ベジタリアンレストランで、ビーガンであることを話したうえで対応してもらうか、宿坊(お坊さんが経営する宿やレストラン)で食事をすると大丈夫なことが多い。
乳採食・・・植物製品と乳・乳製品を食べる人たち。この前のグループの若者2人は、この分類に入る人たちだった。乳製品はOKなので、ソフトクリームをデザートに食べていた。
・ラクト・オボ・ベジタリアン Lacto-Ovo-Vegetarian
乳卵採食・・・植物性食品・乳製品に加えて卵も食べる人たち。欧米のベジタリアンにはこのタイプが多い。乳・卵もOKとなるとやや対応できるレストランの範囲が広がる。乳製品は食べず、卵は食べる人たちはオボ・ベジタリアンを呼ばれる。
・ペスキタリアン Pescetarian
魚採食・・・採食に魚介類がOKという人たち。ペスコ・ベジタリアン(Pesco-Vegetarian)とも呼ばれる。イスラム教の人たちが日本の地方に来ると、このタイプの食事に近くなる。日本では、比較的対応しやすいタイプ。そば屋や日本食レストランだと問題なく対応できることが多い。
・ポヨ・ベジタリアン Pollo-vegetarian
鶏・魚介類は食べ、豚・牛・乳製品・卵は食べない。この方々も比較的対応しやすいと思われる。
このほか、植物の実と葉のみ食べて、根は食べないフルータリアン(Fruitarian)、できるだけ肉を食べないようにするセミ・ベジタリアンなどもいる。
こういう風にベジタリアンだけでも色々種類があり、きちんとコミュニケーションを取って食事のことを聞く必要があるため、高い英語力が必要とされるし、また、ライセンスを持ってない人でもガイドしたい場合、ガイド団体の研修を受けた方がよいのには、このような理由もあります。こういう人たちもいて、どう対応したらいいのか等を事前に知っているのとそうでないのでは、大きな差が出ます。実は私も、ビーガンがいるグループの依頼が結構急だったのと、旅行会社(日本の会社ではない)からきちんとした連絡が来なかったこともあり、食事場所を探すのに大変苦労しました。ビーガンの方が一番喜んでくれたのが、宿坊やお寺の湯豆腐のお店でした。ラクト・ベジタリアンの方々は、日本のその他のベジタリアンレストランもよかったと話していましたが、そこのお店を見つけるのは一苦労でした。ビーガン以外のベジタリアンの場合は、イタリアンレストランやそば屋、インド料理店などでもOKなことがあります。インドはベジタリアンが多いので、インド料理店は対応してくれるところが多いようです。インド・トルコ料理店の中には、イスラム教徒への対応もOKなところがあるので、困ったときには聞いてみるといいと思います。
食事に満足していただけると、旅行の印象も大変よくなるので、ガイドに限らず海外の方をおもてなしする必要がある方々は、密にコミュニケーションを取って喜んでいただけるようにしたいですね。