Junの英語学習ブログー英語通訳・翻訳・ガイド・講師ー

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世界の国からこんにちは1-恋愛結婚禁止の国ー

これまでの仕事で、様々な国からきた人々に会いました。そのため、その国の事情を直接聞く機会が多いのですが、時々日本人には信じられないような現実を生きている人もいて、驚くことがあります。

法律で決まっているわけではないのですが、古くからの習慣がいまだに続き、恋愛結婚するのがほぼ無理、という国から来た人に会ったことがあります。中央アジアの、ウズベキスタンカザフスタン等、「~スタン」という名前の国がそういう傾向があるようです。カザフスタンキルギスなどでは結婚相手の女性にしたいと目を付けた人を、誘拐して無理やり結婚する「誘拐婚」がいまだに行われている地域もあります。今回は、自分が好きになった人と結婚できない国について書きたいと思います。

私が出会ったのは、ウズベキスタンから来た20代後半の若い男性。政府関係の公営企業に勤務しており、大学時代をモスクワで送った、いわゆる「エリート」層にあたる人でした。しかし、そういう人には珍しく?エネルギッシュで、来日時から「カブキチョー」を連発する、いたずらっ子っぽいユーモアのある面白い人でした。

ある夜のカラオケパーティーで、「国に帰ったら結婚するんだ。」というので、皆と「おめでとう~!」というと、「でも、愛してないんだ。…っていうか一度もあったことないし。」というのです。「えっ!」と驚いて話を聞いてみると、こちらの国では両親が選んだ相手と結婚するのが普通で、いまでもその伝統は続いているのだそうです。でも、この方は、モスクワで大学時代を送ったためか、同級生はほとんど恋愛結婚しているし、結婚するのがいやでたまらない、ということでした。「もう一度、ご両親と相談しみたら?」と言うと、「何度も嫌だといったのに、聞いてくれない。もうムリだと思うので、観念した。」ということでした。

なんでも、大学を出たばかりの頃、一度自分で気に入った女の子を連れていったところ親に「そんな田舎の村の子はダメ。タシケント(ウズベキスタンの首都)出身の女性にしろ。」と、特に母親から猛反対されたそうで、その子との結婚は諦めた、ということでした。結婚には、経済的なことも大きく絡んでいるようで、お互い経済的メリットがないと両親は認めてくれないとのことでした。もう1名、同じ国から来た人がそのグループにはいましたが、この方も、大学在学中に急に呼び戻され、突然「この女性と結婚しろ」と言われて、現在の奥さんと結婚した、とのことでした。戦前の日本なら、そういうこともあったかもしれませんが、今では日本では考えられない話です。

「私だったら、まっぴらごめん。でも、仕方ないんだよね?」というと「俺も嫌なんだ。やっぱり、自分がかわいいとかきれいだと思う人と結婚したい。親がきれいだと思う人じゃなくて。」と話していましたが、もうどうすることもできず、結局、「国に帰りたくない…。」を連発しながらも、帰国の途についたのでした。

後程、結婚式の写真が送られてきましたが、どの写真をみても、彼の方には笑顔がなく、絶望的な目をしており、「人生終わった…。」と言わんばかりの表情を見ていると、私の方まで悲しくなってきてしまいました。後程、生まれた娘さんの写真も送ってきたので、今ではそれなりに満足して暮らしているのかもしれませんが、それで、今後もこの状態が続いて、よい人生を送れるのかどうか、疑問を感じるところです。

もしかしたら、この習慣のおかげで、恩恵を得ている人もいるのかもしれません。日本でもこのような習慣があれば、これほど未婚率が高くならずに高齢化も防げた、ともいえるかもしれないです。しかし、個人の自由な気持ちを昔より重視するようになった現代では、このような個人の自由や権利を侵害するような風習は、個人の幸福のためにも嫌な人は従う必要がないように、徐々に変えていくべきものだと思います。現代には合わなくなってしまった伝統的な風習からは、早く自由になりたいものです。こういう習慣をだんだん変えて行けるよう、もしくは、嫌なことは嫌だと言えるように、世界のどこの国も変わっていって欲しいと思います。