Junの英語学習ブログー英語通訳・翻訳・ガイド・講師ー

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ウェビナーを開催しようと思った理由-県内通訳案内士5名とペラペラ求人誌の衝撃を超えて-

7月20日に、「地方で英語の仕事で稼ぐには?」というウェビナーを開催することにしました。セミナーを開催しようと思ったきっかけは、地方、特に東北地方では、英語(語学)を仕事にしている人の人数が首都圏や関西地方などに比べて圧倒的に少ないことがあります。それは、首都圏に比べると仕事が少ないということもありますが、どうせ有料の語学の仕事で食べていくなど無理、とあきらめている人が多いことも原因の一つだと思います。

 

14年前に地元に戻りましたが、ある日新聞記事を見たら県内通訳案内士の数が記載されていました。それが何と「5名」だったのです。本当に驚きました。当時、通訳案内士にはあまり興味がなかったのですが、都内だと当時でも1000人くらいはいたはずです。それが、5名しかいないとは…。本当に衝撃的でした。しかも、そのうち実際に通訳案内士の仕事をしている人は2名程度であとは大学や高校の先生、ということでした。確かに当時は「食えない仕事」と言われてはいましたが、それにしても少なすぎる、と思ったものでした。

 

また、何か語学系の仕事を探そうと求人情報誌を手に取ったら、厚さが1mmほどでペラペラで、中身も英語の仕事どころか、普通の事務の仕事もかなり少ないようでした。これにも大きなショックを受けました。地方である程度の収入を得るなら、公務員、教師、銀行員、医者くらいしかないのではないか、そういう仕事に着けるタイミングを逃した自分は、もう食っていけないのではないかと、不安に襲われました。とりあえず、なんとか児童英語講師の仕事を見つけて、合間に少し翻訳の仕事をし、2007年年度に岩手県の地域限定の通訳案内士の資格を取って、ごくたまにですが平泉などでのガイドの仕事をするようになりました。それでも収入は東京にいた頃の半分程度で、地元に帰ってきたのは人生で最大の過ち、と思うまでになりました。東京にいた頃はラルフ・ローレンなどもたまには買えましたが、地元に帰って来た当時は子供がいたのもありますが、ユニクロを買うのも熟慮してから、という風になりました。

 

でも、このままでいては、収入もそれほど伸びないし、何とかしなくてはいけないと思いたって、思い切って児童英語の講師の仕事を辞めて、通訳翻訳でやってみることにしたのです。そして、多少ですが以前登録した地元の通訳翻訳会社や、以前東京で登録した会社から仕事が来るようになり、2011年にガイドの資格を取ってからは、県外にもガイドの仕事をしに行くようになりました。

 

2012年に、青森でクルーズガイドの仕事をしないかという話しがあり、岩手2名、宮城県1名で青森市内の打ち合わせ会場に向かいました。すると、そこには20名を超える通訳案内士が来ていて、それがなんとほとんど東京など首都圏の方から来た通訳案内士の方々でした。首都圏以外では、地元青森が2~3名、あと、北海道のガイドの方も1人が2人いたと思います。その時思いました。首都圏ほどではないが仕事はある、しかし、人材不足かまたは地元の通訳案内士・語学人材の存在が知られていないため、結局首都圏の方の人たちに仕事が回っているのだと。

 

首都圏の方の方々を責めているわけではありません。仕事ができる人材が少ないのは確かなのですから。その当時、岩手県では平泉の世界遺産登録のためということもあり、県の方で通訳案内士養成の講座を開催するなどして、人材を増やす努力をしていました。それで地域限定通訳案内士を入れると、全ての言語で20数名になっていたと思います。また、その後も増えて、はっきりとした人数は不明ですが、今では多分地域限定通訳案内士を入れれば、40~50名くらいまでは増えたのではないかと思います。ただ、それでも全員が稼働しているというわけではないし(高校・大学の先生なども多い)、最近のクルーズ船の来航時に人数を集めようとすると、県内だけでは賄いきれないことがほとんどです。他の東北の県も同じ状況で、だいぶ東北比率が高くなってきたものの、首都圏の方が何名か入っていることが多いです。

 

このように、東北地方が語学の仕事をしたいと思っている地元民にとっては厳しい場所であることは変わりないのですが、最近ちょっと状況が変わってきたのです。ここ数年、特に2013年あたりから、観光客が増加し始め春などお客様が多い時期には逆に東北から首都圏に呼ばれるような事態も出てきました。また、特に昨年度あたりから、クルーズ船の来航数が急増し、東北の寄港地が増えました。また、技術の進歩により、同時通訳の勉強が自宅でもできるようになりました。これには、本当に助けられています。

 

そして、私の収入も東京にいた頃とほぼ同水準になりました。多かった年には、岩手県の平均年収をやや超える程度の収入はありました。「なんだ、大したことないじゃん」と思った方もいるかもしれませんが、普通会社員の方だと、月金で週5日働かなくてはなりません。でも、語学の仕事だと単価が高いので、実際に働いている時間は同じ年収の方の3分の1~2分の1程度だと思います。翻訳の場合は、在宅で仕事ができます。もちろん、家で仕事の準備などはしなくてはなりませんが、子供といられる時間はトータルでは語学の仕事の方が多いと思います。この点については、当日もう少し詳しくお話ししたいと思います。ただ、昨年、1昨年は子供の受験があったりして仕事を地元だけにしていたり、仕事先の方の都合でいつも入っていた仕事が延期になったりして、正直厳しい状況でした。しかし、今年はやはりクルーズ船の来航や、今まで開拓してきた登録先等にアプローチしたり等の努力をしたおかげで、かなり回復してきました。

 

それで、皆さんに実際には仕事はない訳ではないし、拡大しようと思えばなんとかできる、活躍の場はある、ということを伝えたいと思い開催を思い立った次第です。シングルマザーで頼る者がいないということもあって、かなり仕事探しや仕事の拡大には力を入れてきました。その方法や現在の状況、今後の見通し等についても話したい思います。また、語学の仕事は経験がものを言うところもあるのですが、なかなか経験を積む場がないことが多いです。しかし、今年、来年は仕事量が多くなると思われ、経験を積むには絶好のチャンスなのです。今年来年で経験を積んでおけば、それ以降仕事の獲得が楽になると思われます。これも、開催しようと思った理由の一つです。

 

地方で語学で活躍できる人を増やして、なるべく地方の仕事は地方の人材で賄えるようにする、そして、逆に今後首都圏で人材不足になった際には、地方から首都圏や他の地域に行って仕事をすることができるような人を増やしたいと思っています。

 

地元の方はもし機会があれば通訳入門などの講座に来てくれればとは思いますし、また、スキルアップに役立つ講座なども紹介します。ですが特に高額セミナーに誘導するということはありません。自分が仕事を得てきた方法や、現在の業界の情報などを正直にお話しします。皆さんのお仕事獲得、スキル・収入アップ、学習の動機付け等のお役に立てれば幸いです。