通訳学校の先生から教わった、社説を使った英語勉強法
東京にいる頃、通訳学校に何年か通いました。働いて資金をためながらだったので、1年半くらい通ってはいったん休み、再度再開する、みたいな感じになってしまっていましたが。授業が厳しいことで定評がある学校で、先生も厳しい方が多かったのですが、その中でも超厳しいことで有名だった先生が、いつも宿題に出していた勉強法を紹介します。
新聞の社説を日本語と英語で準備します。英語版が出ていて対訳があるものなら、どんな新聞でもいいと思います。日本語訳を読んで、英語に訳しにくい言葉、自分がこれまで知らなかった表現を英語訳の方で探して、どういう訳になっているか確認します。そして、それをエクセルなどで作成した用語集に打ち込んで、時間があるときに暗記します。実際の学校の授業では、毎回語彙のテストがあったので、その都度おぼえるようにしていました。
6月8日付けの朝日新聞の社説を使って説明してみます。日本語の社説の冒頭部分は、以下のような文章です
先週末にカナダで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、通商問題をめぐり、米国とその他6カ国の対立が鮮明になった。
この中で、「~をめぐり」「対立」「鮮明になった」という言葉をどう表現したらいいのかわからない、また、主要7ヵ国財務省・中央銀行総裁会議の英語訳がわからない、とします。そこで、英語訳を見てみると、以下のような訳になっています。
The meeting of Group of Seven finance ministers and central bank governors, held in Canada last weekend, revealed a sharp rift between the United States and the other six nations over trade issues.
赤字の分部が対応する箇所になります。蔵相会議などの名詞は、そのまま覚えます。その他の分部の対応する語句は以下のようになります。
~をめぐり-over, 対立が鮮明になった-revealed a sharp rift
「~をめぐり」などは、使える表現だと思いますので、自分で文章を作ったりして文章ごと暗記して記憶するようにします。「対立が鮮明になった」の分部は、鮮明がsharp で、対立にrift (不和、不仲、亀裂)を使っており、そのまま訳すと「はっきりした不和が明かになった」となります。このように、日本語そのままの訳になってない部分もあります。その場合は、単語別に覚えてもいいし、それぞれの意味を確認したのち、塊として覚えてもいいと思います。
日本語ではよくつかわれるけど、英語ではどう表現したらいいのかわかりにくい言葉、例えば、「~を打ち出す」「~への取り組み」「の努力が必要」などの表現を覚えるのに役立ちます。これは、社説だけではなく、対訳があるものなら、なんでも利用できます。授業では、ニューズウィークの日英版、CNNなども宿題で出されていました。これほど多くの宿題を出していたのは、その厳しい先生だけだったのではないかと思います。行き過ぎると体罰などになってしまうので注意が必要ですが、厳しさは熱心さの裏返しでもあると思います。とても「熱い」先生で、教えるのも好きだとおっしゃっていて、一番印象に残っている先生でした。
正直言って、当時の私にはあまりにも荷が重すぎて、全部できなくて中途半端になったりしたときもありました(今ならやれる分量かなと思います)。その時に先生が話していたのは「みなさん、宿題多いと思うかもしれないけど、自分でこれほどやりますか?自分ひとりだとやらないでしょ?私も生徒だったので分かるんです。自分だけじゃやらないんですよ。」という言葉でした。ちょっと反発も感じたりしましたが、確かに言う通りで、人間やはり弱いので、何も課題がないとどうしても楽な方に流れてしまい、どうてもよくなってしまいます。何事も頭の中だけではなく、実際にやるということが大事で、私も最近、以前ほど英語漬けになってないので、なんとかしようと思っています。
通訳者になりたい方は、これに加えて、社説を使って日英のサイトラをするとさらに効果的です。
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