アフリカ事情-あまり知られていないと思われること-
通訳や研修監理の仕事をするようになってから、アフリカの発展途上国から来た学生・研修員と話をする機会が多くなりました。数年前まで、欧米やアジア諸国に比べると、アフリカにはあまり関心がなく、知識もほとんどありませんでした。多少知識があっても、ケニア、エジプト、モロッコ等ヨーロッパに比較的近い国のことに関する知識や情報がわずかにあるだけでした。話してみると、知らなかったことがたくさんあり、びっくりするような事実が多いことがわかりました。私と似たような状態の方も多いと思いますので、それらをいくつかご紹介したいと思います。
・どんなに状況が悪くても、首都では比較的設備が整った、安全な(国内の他のところに比べると)暮らしが可能。最貧国でも、大きなスーパーマーケットやインターネットなどの設備がある程度は利用可能。
・夜出歩くのは大変危険。特に女性の夜一人での外出は命取りになることも。これほど安全なのは、日本とあとほんの数か国のみと思われる。アフリカ人の女性は、夜出歩けることに皆驚く。
・真ん中あたりから下の国々は(もっと別の言い方あると思いますが…)、内戦などがなく、比較的国情が安定している国が多い。特に、ボツワナはダイヤモンドで潤っていて、治安も他国に比べるとよく、暮らしやすい。国民の収入や生活水準も高い。他にモザンビーク、マラウィ、アンゴラ、ジンバブウェ、タンザニア、ルワンダ、ザンビア、ナミビアなどは、ボツワナほど裕福ではないにせよ、比較的国情が安定。これ以外の地域では、ガーナやセネガルなども比較的安定。
・南アフリカは、内乱などはないものの、犯罪率がとても高く治安はとても悪い。だが、経済は周辺国の中では一番発達しているので、周りの国から出稼ぎに行ってる人も多い。
・どこの国にも中国人がいる。日本が何かを建設したりするときは、お金と技術者のみ送る場合が多いが、中国の場合労働者も送ってくることが多い。日本人とっては生活水準が下がることが大半だが、中国人は出身地によっては本国よりもよい暮らしができることがある。また、インド人も多い。
・マラウィなど最貧国では、電気が24時間以上止まることも多い。水力発電に頼っているので、暑い季節が特に電力不足になる。ザンビアなど、他のやや状況がいい国から電力を借りたりもしている。道路などもそうだが、電力不足も発展を妨げている大きな要因。太陽光発電に大きな可能性があると思われる。
・大学卒のエリート層、特に30前半以下の若者は、英語力がとても高い(英語圏)。発音は聞きにくいが、読解、英作文などどの能力をとっても日本人よりも能力が高いことが多い。
・汚職がはびこっている。政府の高官の方まで広がっている。若者の間にはなんとか現状を打破しようとする者もいるが、なかなか難しい。
・服は既製品の新しいものが、下着も含めてほとんどない。中古か布から仕立てる服が多い。ボツワナとか南アフリカなど経済的に発展した国には、新品も売っている。
・まじないや迷信のようなものに、いまだ左右されている人口が多い。時々、この迷信に基づく間違った考えから、悲惨な事件が起こる。最近では、アルビノに対する暴力や殺人、吸血鬼騒動などがある。
・洗濯機がない家庭が多い。裕福な家でもないことが多い。これは、洗濯を職業としている人たちから仕事を奪うから、という理由もある。
・南アフリカの中には、レソトとスワジランドという2つの小さな国がある。レソトは独特の文化があり、興味深い国。国情も比較的安定。
・このような状況にも関わらず、面白くて明るい人が多い。ディスカッションが好きで、冗談・ダンス好きが多い。
思いつくままに書いてみました。貧しい国が多いのですが、エネルギーがあり、大きな可能性がある場所でもあります。国内で内戦がある国も多いので、収まってくれればいいなといつも願っています。やはり、国の安定が経済発展にもつながるようです。時々、このような状況の国をほっといて、AIの開発も何もないだろう、こちらの発展が先じゃないかと思うことがあります。でもそういう技術の発展によって、もっと助かる国が出てくるかもしれないし、また別の話と言えばそうかもしれません。このような国々もあると、関心を持ち続けることが大事だと思います。