Junの英語学習ブログー英語通訳・翻訳・ガイド・講師ー

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子供に英語を教える・習わせる場合に、気を付けるべきポイント

東京から岩手の実家に戻ってから、通訳翻訳どころか普通の英文事務の仕事もほとんどなかったので、子供向け英語教室の講師をしていた時期がありました。また、叔父が勤務先の会社からアメリカのフロリダに派遣され、企業の駐在員として通算8年アメリカに滞在していたので、いとこのうち3名は帰国子女です。こういう経験から、英語と子供にまつわる、様々なケースを見てきました。英語を子供にお母さんが自ら教えたり、英語教室に通わせる際に気を付けるべきポイントについて書いてみました。

・0-5歳 覚えも早いが忘れるのも早い。

 この時期は、英語を教えるとすぐ覚えるので、「うちの子供って語学の天才!」とどのお母さんも思ってしまうかもしれません。また、発音もモデルのネイティブの音声通り発音できます。しかし、忘れるのも早いので要注意です。

 私のいとこの3兄弟は帰国子女でしたが、一番上の兄が4歳半、真ん中が3歳直前、下の妹が1歳ちょっとくらいの年齢で日本に帰ってきました。私は中学生くらいだったと思います。当時は岩手県には子供に英語を教えているところなどなく、英語を話せる人もほとんどいない状況でした。彼らは、英語の方が得意な状態でかえって来たので、遊ぶ時には、英語で話さないとわからない場合も多かったのです。かくれんぼをするとき「100数えて」と言っても通じず、中学で習いたての英単語「ハンドレッド」をバリバリ日本語発音で言ってみたところ、"Oh! Okay."と言って、ものすごい勢いで英語で数を数え始めました。また、見るテレビ番組も、帰ってきた当時は英語のドラマを副音声(英語)で見ていたようでした。いとこがチップス、チップスとおじさんに向かっていっていたので、「チップスって何?」と聞いてみたところ、当時日テレで放映されていた「白バイ野郎ジョン&パンチ」の英語のタイトルでした。

 こんな状況だったのに、半年ほどで、真ん中の男の子が盛岡弁の方を話すようになりました。話しかけた時に、いままでイエス・ノーで答えていたのが、いきなり「んだ」となったのは衝撃的でした。また、上のお兄ちゃんも、1年半くらいでまったく英語がわからなくなり、あれほど英語で歌っていた「こげよマイケル」も全く歌えなくなり、友達の名前も一部しか思い出せなくなりました。見るドラマもいつの間にか「チップス」から、同じ刑事物でも松崎しげるの「トミーとマツ」を好んでみるようになってしまいました。

ポイント:5歳前から英語を習わせる場合には、何か事情があって辞める場合でも、なんとしても小学校入学後1,2年後まで続けること。でないと全て水の泡。

・5歳前後の壁 5-10歳前後

 英語を小さい頃から習ってきた子供でも、この年令前後に今までよかった発音が、突然カタカナ発音になってしまうことがあります。日本語の回路がだいぶできてくるのか、英語の音を聞くと、カタカナにおきかえてしまうようになってしまうようです。それでも、そういう状況になっても、なんとか英語発音をキープできる子供もいます。そういう子供のお母さんは、「車に乗ったらすぐ英語」とか「朝は英語の曲を流す」等、時間や場合を決めて英語に極力触れる機会を作るよう努力しているようでした。小学校1,2年ころまでは、これで大丈夫かと思いますが、3年生あたりになると、日本語が圧倒的に優位になってくるので、英語の音をレッスンの時以外に聞くことを拒否するようになる子もいます(うちの子供がそうでした(^^;))。でも、理由は不明なのですが、小さい頃からこの年齢まで継続できていると、いざとなると結構ちゃんと発音できたり、英検などのテストをやらせてみると、意外と覚えていたりします。やっぱり「継続は力なり」なので、焦ったり怒ったりしなくても大丈夫です。

 ちなみに、講師仲間で4歳から8歳ごろまでアメリカにいた先生がいましたが、日本に帰ってきてから英語は忘れてしまっていたのですが、高校生でホームステイに行ったら突然思い出し、以前のように話せるようになったそうです。5歳前に帰ってくるのと、それ以降と何が違うのかよくわかりませんが、知り合いの帰国子女でもそういう話をしていた人は多かったです。

ポイント:以前から継続して習っている子は、カタカナ英語になったり、英語を聞くのを拒否したりしても、意外と身についているので、そこで諦めたり焦ったりせず継続することが大事。拒否するようになる前に音を聞かせておくこと。

・10-12歳 中学入学前まで

 この時期には、特に男の子に多いのですが、サッカーなどスポーツにのめり込み、英語への興味を失ってやる気もなくしてしまう子がいます。もし、そういう事態になり、どうしても継続が難しいようだったら、思い切って英語をいったん辞めてもいいかもしれません。これまでやってきたことは、子供によって程度の差はありますが、親が考えているより身についているようです。辞めてしまっても中学校に入ったら英語はどうしてもやらなくてはならないし、中学では特に最初の頃はよい成績を取れると思います。

 また、今まで全く英語をやってなかった子供も、この時期から始めると英語を小さい頃からやっていた子に追いつける場合もあります。中学入学前に、少しでも英語を勉強しておくと、中学校に行ってから楽だと思いますので、この時期から勉強を開始するのもお勧めです。逆説的ですが、この時期から始めた場合には、英語力の伸びはその子の国語力にかかっていると思います。大人でもそうですが、その人の持っている母国語のレベルまでしか外国語は伸びません。海外の学校にずっと通わせて、海外の大学に入る場合は別ですが、日本で大学進学・就職したい場合には、英語と合わせて国語力も磨いておくことも重要です。私には妹が2人いますが、このあたりの年齢から、アメリカ駐在経験があり、教員免状を持っている近所の人から英語を習い始めました。真ん中の妹はもともと成績がよく真面目で、読書感想文などでは賞をもらえるような子供でした。英語は中学校に入ってから高校までトップの成績で、英語教育に定評のある大学に入学し、今は東京で翻訳者をしています。逆に、一番下の妹は、勉強があまり好きでなく、成績も真ん中くらいかやや真ん中より下で、明るい性格でふざけるのが大好きでした。英語はすぐやめてしまいました。体に柔軟性がありダンスがうまかったので、新体操部に入り、部の中では上手だったようです。

 それと、この時期に1年間だけ欧米にいてかえってきたという帰国子女を知ってますが、1年間だけでは英語は身に付かないようで、正直「私の方が英語うまいわ。」と思いました。逆にアメリカ人で小学校4年生の時1年だけ日本にいて日本の小学校に通った、という人も知ってますが、やはり日本語はほとんど忘れたとのことでした。帰国子女でも滞在1年では外国語は身に付かないようです。私がこれまであった帰国子女で、高度な英語力が身に付いた人たちは、小学校高学年から中学校にかけて3年くらいいたという人が一番多かったと思います。子供を海外で勉強させるなら、この時期に数年滞在させるのがベストなのではないかな?と思います。

ポイント:英語以外のことに興味をもち、英語の勉強をいやがるようになったら、思い切って辞めさせるのも手。今までやってきたことは無駄にはならない。この時期から勉強させるのも、中学校に入ってから勉強が楽になるのでいいことである。国語を延ばすことも忘れないようにするのがポイント。

小学生・幼児のお子さんがいる方で、英語を習わせることを検討している方は、参考にしてしていただければと思います。